日本のECモールで価格を追跡するとき、表示価格だけを集めても競合分析にはなりません。楽天市場とYahoo!ショッピングでは、ポイント還元を差し引いた実質価格が意思決定を左右するためです。この点が、海外のマーケットプレイスを対象にした一般的な価格調査と決定的に異なります。
表示価格と実質価格の乖離
楽天市場ではSPU(スーパーポイントアッププログラム)やお買い物マラソンにより、同じ商品でも会員条件によって還元率が変わります。表示価格が3,000円でも、還元率が10%あれば実質2,700円です。競合が「値下げした」ように見えるとき、実際には価格は据え置きで還元率だけが動いていることが少なくありません。
Yahoo!ショッピングも同様に、PayPayポイントの付与率がキャンペーン期間中に大きく変動します。5のつく日や特定のキャンペーンでは、表示価格の比較が意味を失います。
Amazon.co.jpは還元の影響が小さい一方、カートボックスの取得事業者が入れ替わるため、1日1回の取得では価格の実態をとらえられません。
収集設計で押さえるべき点
ポイント表記を価格と同時に取得する。 後から還元率を復元することはできません。表示価格、ポイント付与率、送料条件を同じリクエストで取得し、同じレコードに保存してください。
日本国内のIPから取得する。 三社とも配送先や接続元によって表示内容を変えます。特にYahoo!ショッピングのキャンペーン表示は国内からのアクセスでなければ再現されません。日本のレジデンシャルIPは東京や大阪を含む主要都市をカバーしており、実際の購入者と同じ条件でページを取得できます。
モールごとに取得頻度を変える。 カートボックスが動くAmazon.co.jpは1日複数回、キャンペーン単位で動く楽天市場とYahoo!ショッピングは1日1回で十分です。すべてを同じ頻度で回すと、必要な変化を取り逃がしながら帯域だけを消費します。
セッションの扱い
商品ページを個別にたどる場合、リクエストごとにIPが変わると、カート情報やキャンペーン適用状態が失われます。レジデンシャルプロキシのスティッキーセッションを使い、一連の遷移を同一IPで完了させてください。検索結果ページの収集はリクエストごとのローテーションで問題ありません。
想定される規模
数千SKUを対象に、Amazon.co.jpのみ1日数回、他二社を1日1回という構成であれば、帯域の消費量は小さい部類に入ります。帯域課金のプランであれば、使った分だけの支払いで済み、到達しないリクエスト数の契約を抱える必要はありません。
価格データを自社カテゴリの推移と突き合わせる場合は、価格インテリジェンスのページに他チームの構成例をまとめています。